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医療事件とは

医療事故とは、医師、看護師などの医療関係者が患者などが診療中にミスをして人に対して発生させた人身事故をいいます。このうち、対立当事者(主に患者と病院)間で紛争になっているものが医療事件です。

医療事件には、民事事件と刑事事件があります。

民事事件の場合は、損害賠償事件となります。患者から病院(正確には病院設立者。まれに医師個人)に対して損害賠償を請求する事件です。

刑事事件になるケースは非常に限られますし、仮に、刑事事件になったとしても、患者側の弁護士が刑事事件に関わることはさらに限られます。 なぜかというと、そもそも刑事事件に登場するのは、裁判官、検察官、被告人であり、(被害者参加制度は別として)患者側は裁判に登場しないからです。
刑事事件では、医療側弁護士は被告人である医療関係者の弁護人となるでしょうが、患者側は裁判に登場しませんので、患者側弁護士のやれることはせいぜい検察官に働きかけることくらいしかありません。具体的に検察官に働きかける方法として、告訴があり、患者側弁護士はその手続に関わることができますが、告訴をしても、刑事裁判を起こすかどうかの権限は検察官だけが持っており、告訴の効果には限界があります。

このホームページでは、民事の医療事件のみについて記載しています。

医療事件(民事)の要件

医療事件(民事事件)として成立する、つまり損害賠償請求をすることができるためには要件があります。

それは、a 過失、b 損害、c 因果関係です。

a 過失とは、医療従事者の落ち度、ミス(医療ミス、医療過誤)のことです。たとえば、投薬の量を間違えた、手術中にうっかり関係のない血管を切ってしまった、などです。ただし、過失は法的概念ですので、法的にみて過失がある場合でなければならなりません。たとえば、手術に手違いがあって結果的に死亡してしまった場合も、それだけで過失があることにはなりません。その手違いがあった行為について法的にみて過失があったといえることが必要です。

b 損害は、いろいろな観点から分類することができ、この損害の分類から損害とはどういものかをある程度理解することができます。たとえば、財産的損害と精神的損害(=慰謝料)、積極損害(ex 治療費、付添費用、介護費用)と消極損害(ex 休業損害、逸失利益)、死亡したことによる損害と身体傷害を受けたことによる損害、などの分類があります。これらの損害が発生するとき、その損害を金額に見積もってその金額を請求するのが損害賠償請求です。

c 因果関係は、過失と損害との因果関係、つまりその過失がなければその損害が発生しなかったという関係です。たとえば、手術ミスで死亡した場合、その手術ミスがなかったなら死亡しなかったであろう、と通常は考えられるので、因果関係があります。ただ、因果関係も法的にみて因果関係があることが必要であり、たとえば、その手術ミスがなかったとしても、もともとあった他の病気が原因でやはり死亡したはずであるというような場合は、因果関係が否定されることもあります。

また、これらの過失、損害、因果関係があったことは患者側が立証する必要があり(立証責任が患者側にある)、それが医療訴訟を困難にしている原因の1つです。特に、過失と因果関係の立証は、医学という専門的分野にかかわるものであるためなかなか困難が伴います。

医療事件の進め方

一般的には、相談 → 調査 → 示談交渉 → 訴訟、の順になりますが、事件によって異なります(相談は必要ですが、それ以外の項目は不要なこともあります)。

【 相談 】

ご相談から始めます。ご相談でお話を伺えば、その事件のだいたいの方向性、重要と考えられる点などをお話できると思います。お手持ちの資料(カルテなど)がある場合は、事前にそれを送っていただくこともあります。
ご相談の結果、病院に責任追求ができる可能性がある場合は、調査に進むことになりますが、調査費用もかかることから、どうするかをよくご検討ください。

もちろん、病院が責任を認めているケースなど、調査が不要の場合もあります。

【 調査 】

調査の目的は、病院等に対して責任を追及できることが可能かどうかを調べることです。

調査の資料は、カルテや画像(レントゲン、CT、MRIなど)です。これらをお持ちでない場合は、入手する必要があります。入手方法は2通りです。

①任意の取り寄せ:病院に対して、自分や家族のカルテ等を開示してくれるように申し込んで、開示してもらいます。費用は、実費(コピー代やDVD代)がかかります。

② 証拠保全:裁判所に申立てをして、予告することなく裁判官や書記官とともに病院に行って、カルテ等を開示させます。開示されたカルテ等は、写真に撮ったり、コピーを取ったりします。実費として、通常の実費に加え、一緒に連れて行くカメラマンの費用(日当、画像の印刷代)がかかります。

証拠保全を認めてもらうには、証拠保全の事由(あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難になる事情)が必要です。病院や医師が、カルテを改ざんしてしまってカルテを証拠として使うことができなくなるであろうという事情です。ただ、単に「改ざんのおそれがある」と主張するだけでは不十分で、この医師や病院ならカルテの改ざんもしかねないという不信感を抱かせるような事情を主張する必要がある、などとされていて、裁判所がなかなか許可してくれないときもあります。

最近は、電子カルテが普及していることもあり、証拠保全は少なくなっています。

以上のように資料が揃いましたら、これらにすべて目を通し、医学文献、ガイドライン、医学論文等の医学資料を収集し、調査します。また、協力医(医療事故の被害者のために医学的意見を教えてくれる医師)に相談します。これらの手順を踏んで、最終的に弁護士が責任追及可能かどうかの結論を出します。

【 示談交渉 】

調査の結果、病院等に対して責任を追及できることが可能と考えられる場合、病院等に対して書面で損害賠償の請求(通常は内容証明郵便)をして、示談を開始します。

これに対して、病院側が、回答を送ってきて、全面的に請求を拒否したり、過失は認めても金額が多すぎると回答してきたりします。そこで、回答に対して反論したり、請求金額の根拠を示したりします。このように、病院側とのやりとりを経て、合意に達すれば、和解(示談)をして終了となります。

ただ、全く応じる姿勢を見せず、その理由も説明してこないようなときは、示談は進みません。他の示談交渉の方法としては、調停の申立て、ADR、があります。

調停の申立ては、裁判所に対して、話し合いの場を設けて調停委員(通常は裁判官)に間に入ってもらい、合意に向けて何度か期日を開いて話し合いを進めます。合意に達すれば和解をして終了となります。

ADRというのは、裁判外紛争処理手続の略語で、医療事件の場合は、通常、弁護士会の仲裁センターに申し立て、第三者の弁護士(医療事件に詳しい弁護士)に間に入ってもらい、合意に向けて何度か期日を開いて話し合いを進めます。合意に達すれば和解をして終了となります。

【 訴訟(裁判) 】

最後の手段となりますが、裁判所に訴訟を申し立てます。東京地裁などある程度大きな裁判所では医療集中部が担当します。最初に、病院側からカルテの提出があり、その後は、双方から主張と証拠(主に医学文献)を提出して進めていきます。やはり、普通の訴訟よりは長くかかります。判決まで進む場合は、3~5年位はかかるのが普通でしょう。

途中で、裁判所から和解の提案がされることがあり、ここで双方折り合えば、和解成立して、終了となります。和解が成立しないと、尋問などを経て判決に至ります。

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